システム連携とは?ポイントと具体的な方法を解説

新しいITツールを導入したりシステムを構築する際に、既存のシステムとの連携をどうするべきかが課題になったことはないでしょうか。

この記事では、システム連携で検討すべき重要なポイントと具体的にどのような方法で連携できるかを解説します。

目次

システム連携とは何か

システム連携とは、異なるシステム/アプリケーション間で、データ等を連携することにより、システムを跨いだ業務の円滑な連携や統合を可能にすることです。

IT化/デジタル化を進める上で、システムの調達方法は、クラウドサービス、パッケージソフト、自社構築等様々です。その都度、最適な方法を選定して目的に合致したシステムを実現することになるかと思います。一方で、それぞれ調達されたシステムの間は、何もしなければ連携されていない状態です。

このように独立・分断した状態だと、業務上の連携もスムーズには行えません。それによって業務が成立しないような場合には、システム連携を優先的に行うケースが多いですが、一方、連携によって付加価値を狙えるといったケースでは、必ずしも連携は優先的には行われないこともあります。

例えば、SFA/CRM(営業支援・顧客管理)システムと販売管理システムを連携することで、見積もり情報を元に請求データを効率的に作成したり、販売の実績データを元に顧客と関連付けた売上分析を行ったり、といったことが可能になりますが、絶対になければ業務が回らないといった類のものではないので、費用対効果を考慮して、どういった連携に取り組むかを検討していくことになるかと思います。

システム連携のポイント

最初に、技術面ではなく進め方の話になってきますが、各システムは部門手動、現場主導で導入されているケースもあり、システム連携をスムーズに実現するために、組織間の連携が必要になってくることもあります。こうした場合も考慮すると、システム部門が手動することが望ましいです。というのも、システム連携においては、全社的な標準化やガバナンスの視点が必要になってくるからです。

具体的なポイントの一つとしては、システム仕様との整合性です。直接データベースで連携するような手法を取るときに、単純に一方のシステムで生じたデータをもう一方に連携するだけでは、連携先のデータ仕様や、アプリケーション仕様と不整合が生じて不具合を生み出します。そのデータベース許容されるフォーマットやデータの種類というだけでなく、システム全体で見たときの他のデータとの整合性等、総合的に見て仕様と矛盾しない形でのデータ連携が必要となります。

こういった観点からも、システム連携はその都度場当たり的に行うのではなく、共通的なルールや指針を予め定めておくとともに、可能であれば共通的なアプローチを準備をしておくのも、一つの方法です。例えば、統合的にシステム連携を支援するツールも存在しますし、そういったツールを導入しないにしても、予め連携方法等を定めておくことでスムーズに連携を実現するとともに、連携の失敗による混乱を防ぐことも期待できます。

また、具体的に連携を行って行く際の検討ポイントとしては、単純なデータのみの連携だけではなく、業務プロセスに即した連携といった考え方が重要になってきます。つまり、データ連携を行うのは、いつでも良いわけではなく、連携元のシステムでデータに変化が起きたタイミングであり、かつ連携先のシステムにとって、その変更を知る必要があるタイミングということです。こうした連携に適切なタイミングを判断するには、技術的な視点だけではなく、業務プロセスを理解した上で、必要最低限な連携を行っていく視点も必要になってきます。

また、上記と関係してくるのが、定期連携かリアルタイム連携かという観点です。理想を言えば、よりデータの鮮度の高いリアルタイムで連携した方がベターですが、技術面の制約等により、難しい(または高コスト)ということがある場合には、最低限どの頻度(日次、週次、月次等)で連携されれば問題ないかを踏まえた上で、定期一括処理(バッチ処理)で実現していく考え方もあります。

システム連携のメリット

システム連携のメリットはどのような点が挙げられるでしょうか。

業務の連携による効率化、リードタイム短縮

システム連携が行われていなかった場合、人の手により転記等を行うことになります。こうした作業を自動化することによる効率化が期待できるだけでなく、担当者が対応するまで情報が更新されていなかったものが、リアルタイムに連携されるようになり、業務全体のリードタイムの短縮という形でメリットが生じることもあります。こうした点に着目していくことで、納期短縮や、サービスのフルオートメーション化等、ビジネスモデルにも影響を及ぼす可能性もあります。

ヒューマンエラーの防止

人の手により入力が行われれば、どうしても入力ミス等のヒューマンエラーが生じる可能性があります。システム連携により自動的に入力するということは、こうした人の手が介在することが原因で生じるミスを防止することに繋がります。これにより、データの品質向上というメリットも期待できます。

情報を集約・統合して活用

当然ですが、連携されていない状態だとデータは各システムに分散しており、それらのデータを組み合わせて活用することは難しいです。連携せずに行おうとすると、その都度データを出力して手動で加工分析するような作業が発生します。システム連携によりこれらのデータは一箇所に集約することができ、横断的に分析する等の活用が可能になります。

システム連携の手法

それでは、具体的にどのような方法でシステム連携を実現していくことができるでしょうか。

データベース連携

自社で構築したシステム等でAPI等の標準的な連携手段が存在しない場合には、直接データベースからデータを出力・更新する方法があります。しかし、その場合もシステム仕様と不整合なデータを直接挿入しては、不具合を生じるため、連携プログラムを組んでデータの加工を行った上で、正しい形式のデータを更新するように制御することになるます。

データベース連携のイメージ

API連携

クラウドサービスの場合は、連携を行うためのAPIが準備されていることがあります。APIとは「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programming Interface)」の略称で、クラウドサービスの場合は、インターネットを介して連携を可能とするWeb API連携を利用します。こうしたWeb APIの利点は、物理的に遠隔にあるシステム間でもインターネット上で所定の認証手段を利用することで、セキュアにデータを連携できる点です。また、APIとして公開されている以上、仕様に沿った使い方をすれば正確に連携できることは保証されているので、手軽に連携を実現できるという点もメリットです。

WebAPIのイメージ
WebAPI連携のイメージ

ファイル連携

一方のシステムから出力したファイルを経由して、もう一方のシステムにデータを取り込む方法です。一括して大量のデータを処理しやすいため、定期処理(バッチ処理)による連携に適しています。CSVやXML等の形で出力されたファイルを転送して取り込む流れを自動化して行うこともできますし、手動運用で手軽に行うケースもあります。例えば、対象のアプリケーションにエクスポート機能やインポート機能がある場合には、人間の手でファイルの出力・入力を行う方法を取ることで、手軽に連携を実現することも可能です。確かに、手動による手間が発生しますが、一括で大量のデータを連携できるという点では、効率を損ねていませんし、手入力を行う訳ではないため、ミスも生じにくいため、一定のメリットのある方法と言えます。

ファイル連携の様々な形

統合的なシステム連携ツール

システム連携に特化したツールが存在しますが、そういったツールは、様々な連携手段に対応しており、少ない工数で連携処理を実現することができ、連携の状況が見える化されており統合的に管理できる、といった利点があります。具体的には、EAI(Enterprise Application Integration)やSOA(Service Oriented Architecture)と呼ばれるツールは、前述したような統合的なシステム連携を管理するツールです。こうしたツールは、代表的なシステムとの連携手段(WebAPIや有名なパッケージソフトとのコネクター等)を標準で装備しており、データの加工・転送を効率的に行うためにETL(Extract・Transform・Load)機能を持っていることもあります。また、ポイントの部分で述べた業務プロセスに即した連携、という観点に関してはBPM(Business Process Management)ツールが得意としており、システム連携と密接な関係にあることから、統合的なシステム連携ツールに含まれていたり、オプション製品として組わせたりできるようになっているケースもあります。

システム連携の具体例

ここらからは、クラウドサービスで比較的手軽に実現できるシステム連携について、具体例を元に解説していきます。ここでは、ノーコード開発ツールであるNuAppを例に、様々な目的に応じたシステム連携の実現ステップを見ていきます。

APIとプロセスを組み合わせた連携

まずは、クラウドサービスでの代表的な連携手段であるAPI連携について紹介します。NuAppではノーコードで作成した全てのアプリについて、データを入出力するAPIが生成されますが、これは単純なデータの連携のみではありません。NuAppは業務プロセスを管理するBPM機能も有しているため、APIから取り込まれたデータをプロセス上で制御して、例えば、加工したり、ワークフローとしてユーザーに通知したりといった後続の業務に連携していくことができます。

アプリ間の連携

厳密にはシステム間の連携ではありませんが、NuApp内で複数の用途でアプリを構築した際には、そのアプリ間で柔軟にデータを連携するための「モデル連携」という機能もあります。この機能も、業務プロセスの中で、最適なタイミングで連携を行えるようにできているため、擬似的ではありますが、ノーコード開発プラットフォーム内で構築された複数システム同士で、業務に即した円滑な連携を行う上で役立ちます。

インポート・エクスポート

ファイル連携の一つとして紹介していた、ファイルのエクスポート・インポートによる連携を実現する際は、エクスポート機能、インポート機能を活用していきます。エクスポート機能では、データの加工や、出力列の選択等を行うことで、連携先のシステムで要求する連携ファイルの形式に合わせることができます。また、インポート機能では、プレビュー機能で取り込み前にエラーデータがないかチェックすることができるため、人の手が介在することによるミスを防止する上で役に立ちます。

エクスポートで加工等を設定する
インポート機能

このようにNuAppでは、システム連携における柔軟性があり、他のシステムとの共存も図りやすいです。

今回の記事でご紹介したNuAppにご興味をお持ちの方は、以下よりお問い合わせ下さい。

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この記事を書いた人

ノーコード開発ツールNuAppを提供するNuFactoryが、ITや経営に関するお役立ち情報を発信しています。
チームにはITの専門家だけでなく、経営のプロである中小企業診断士も在籍し、経営とITの両面の視点をバランス良く盛り込んだ記事をお届けしていきます。

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